大輝君:僕は将来、作曲家になりたいんだけど、どうしたらなれますかねぇ?
中先生:なるほど、君は作曲家になりたいんだ。作曲家にもいろいろと種類があるんだけど、具体的にはどんな作曲家になりたいのか教えてくれるかな?
大輝君:具体的に?人物でもいいかな?僕はできたら米津玄師みたいになりたいんですョ!
中先生:米津玄師みたいになりたいのか!なるほどね。そうすると自分で「作詞」して「作曲」して、歌を「歌って」っていう活動をしていくタイプだね。作曲家のタイプで分類するとシンガーソングライターっていうことになるね。
大輝君:シンガーソングライターっていうのか。なんか難しそうだね。
中先生:確かに、歌も歌って、歌詞も書いて、曲も作って、って並べていくとやる事が沢山あるから大変そうだけど、全部やりたい人にとってはどれも捨てられないものだよね。
大輝君:そうなんだよね。全部やりたい!でも、僕は歌は歌ったこともあるし、歌詞も少しだけど書いたことがあるんだ。だけど、作曲はやってみようと思ったんだけど、やり方がわからないからやったことがないんだ。作曲って誰にでもできるものなのかな?何からやっていいか全然わ からないんだけど。
中先生:なるほどね。じゃあ、ちょっとここで「作曲とはどんなことをするのか」を簡単に見ていってみようか。
大輝君:うん、お願いします。
中先生:まず、作曲をするには、「曲」が「なんで」できているのかを知 らないとできないんだよ。
大輝君:「なんで」どういうこと?「素材」とかそういうことかな?
中先生:そうそう、例えばカレーという料理が「にんじん」「玉ねぎ」「じゃがいも」「おにく」「ごはん」という素材でできている、っていうような感じにね。
大輝君:カレーライスが「なんで」できているかは僕も知ってるよ。それで?
中先生:それと、同じように「曲」も「素材」からできているんだ。 「曲」の場合「素材」を「要素」と呼んでいるんだよ。
大輝君:えーと、「曲」の「素材」を「要素」って呼ぶっていうことだよね。ということは「曲」はいくつかの「要素」からできている。っていうことでいいのかな?
中先生:その通り。「曲」の「要素」は主に3つあって、「楽曲の3要素」って呼ばれてるんだ。
大輝君:「楽曲の3要素」だね。その3つの要素ってなんなの?教えてよ。
中先生:うむ、その3つとは「メロディー」「ハーモニー(コード)」「リズム」の3つなんだ。
大輝君:「メロディー」と「ハーモニー(コード)」と「リズム」。この3つの「要素」で「曲」ができている。っていうことでいいのかな?と いうことは、この3つの「要素」をなにかする?っていうことが「作曲 する」っていうこと。になるのかな?
中先生:そう、そう考えて問題ないよ。それぞれが完全に独立しているわ けではなく、「メロディー」にも「リズム」や「ハーモニー(コード)」が関連してはくるけれど、まずは、その3つの要素をそれぞれの方法で「作って」いくんだ。
大輝君:なるほど、僕が作曲できなかったわけが少しわかった気がするよ。「曲」っていうものを大きな1つのものと捉えていたからなのかな。で、全部一気に作ろうとしてた感じがする。だから、何から手をつけていけばいいかわからなかったんだ。 そうか、じゃあ。「メロディー」作って「ハーモニー(コード)」作って「リズム」作って。っていう感じでやればいいんだ。
中先生:作曲していく順番は人によっても違うし、場合によって違ったり、といろいろあって、慣れてきたらどんな順番でも作曲できるといいな、と思うけど、初心者におすすめの順番っていうのがあるんだ。
大輝君:え?そんなのがあるの。それを教えてよ。
中先生:いいとも。でもちょっと説明が長くなっちゃうから、今回はここまでにしよう!
大輝君:えー! 知りたいよー! でもちょっとトイレに行ってくるから少し休憩ね!
次回につづく
中 祐人先生
東京芸術大学作曲科卒業。作曲を近藤譲、南弘明に師事、在学時より作曲家のアシスタントとして仕事をスタートする。作風はクラシック、ジャズ、ロック、ポップスに至るまで幅広く、活動形態も舞台音楽、映像音楽、コンサート、TV、CM音楽の作曲、編曲やスコアの作成等、ジャンルを問わずそれぞれ非常に高く評価されている。 平成14年より現在まで、音楽専門学校ミューズ音楽院CA専攻・マスターコース講師に就任。柳沢 英樹、齋藤 祐輔、土屋俊輔、Ancient-Beach、浅野実希、石谷光章 、千葉直樹をはじめとする、数多くのデビュー実績にも貢献している。