本校コンポーザー・アレンジャー専攻講師の中祐人(なかゆうと)先生に、作曲や編曲を志す方が知っておきたい曲やアーティストを挙げて下さいました。電子音楽やエレクトロ系、ノイズ系、ぶっとんだ前衛系に興味のある方も、ぜひ聴いてみてくださいね。
ラルフ・ホイヤー 『レジデュアル・リスク』
Ralf Hoyer – residual risk
人の話し声が音飛びしたかのように途切れたり繰、お菓子を食べているような音が延々と繰り返されたり、警報音のような音が断続的に鳴り続けたりする曲(それぞれ別の曲ですが)など、かなり変わった電子音楽ばかり作曲しているラルフ・ホイヤーさん。しかしベルリンのハンス・アイスラー音楽大学でサウンド・エンジニアリングを学んだ後、VEBドイツ・シャルプラッテン・ベルリンでディレクターとして働き、その後ポーランドのゲオルク・カッツァーに作曲を学ぶなど、経歴は意外にもしっかりしています。そんなホイヤーさんの作品をノイズの洪水に負けずに聴き続けていくと、そこに秩序が見出せるようになるかもしれません。
※動画を再生したら「機材が故障したのか」と思うような「ピー、ガー、ゴー」といった電子的なノイズが再生されるので音量などに十分注意してから再生してください。
メイソン・ベイツ オペラ『スティーブ・ジョブズの革命〈進化〉』ハイライト
Mason Bates – The (R)evolution of Steve Jobs
「ミュージカル・アメリカ(Musical America)」誌に、「最も演奏回数の多い存命の作曲家」と 2018 年コンポーザー・オブ・ザ・イヤーに選出されたメイソン・ベイツさん。今回ご紹介する『The (R)evolution of Steve Jobs』は、故人となったアップル社の共同設立者のスティーブ・ジョブズの生涯をオペラにした作品です。こちらの動画はその作品のハイライトになっています。興味を持ったら是非、全曲聴いてみてください。
エリック・ウィテカー『2000の歌声でつくるバーチャル合唱団』
Eric Whitacre – A virtual choir 2000 voices strong
作曲者のエリック・・ウィテカーさんの子どもの頃の夢は、ポップスターだったようです。しかし、彼の人生はかわいい女の子目当てで入った合唱団で変わることになります。そこで合唱の素晴らしさに目覚めたエリックさんは、美しい合唱曲を作曲するようになります。リンクの動画は「眠り」という合唱曲以外の部分も動画になっているため少し長いですが、日本語字幕をオンにして飛ばさずに全編見ることをおすすめします。「現代」「今」だからできた、音楽の活動の一つの完成形がここにあります。楽曲自体とても美しいので、ただ曲を楽しむというのも良いと思います。世界58ヵ国2051人の合唱団の美しい声とともに、聴いてください。
キトリ「左耳にメロディー」
Kitri – Hidari Mimi Ni Melody
Kitriさんは姉妹によるピアノ連弾ボーカル・ユニットというところから、既に作品を聴いてみたくなってきます。姉のMonaさんは4歳から、妹のHinaさんは6歳から、クラシックピアノを習っていて、尚且つ Mona さんは大学で作曲を専攻していました。そこから生まれるクラシック仕込みのハーモニー、アカデミックなパッセージ、連弾ならではの広い音域を操るピアノアレンジ。そこにポップス、ロック、ラテンミュージックなどのリズムが加わることで独特なサウンドを聴かせます。そこにのっているメロディーはどの曲も美しく、中にはノスタルジーを感じさせる楽曲もあるので他にもいろいろ聴いてみてもらえればと思います。
アンジェリカ・ネグロン『グレイ・サウンド・セッションズ』
Angelica Negrón – Gray Sound Sessions
アンジェリカ・ネグロンさんの経歴は、異色といってよいかと思います。プエルトリコ音楽院でピアノとバイオリンを学んだ後、エレクトロ・アコースティックポップバンド Balún を結成し、更に Arturo en el Barco 名義ではアンビエント音楽を発表しています。独自の視点から多種多様な音楽を融合して、そこに自分の感性を足すことによってオリジナルな音楽を生み出しています。動画では楽譜作成ソフトで楽曲を書き留めるのではない方法をいろいろと模索していて、その中で発見した方法の中の一つで植物に電気を流し、それを触ることによる電圧の変化で音を変化させて楽器のように演奏しています。見た目の奇抜さはありますが、そこに流れる楽曲はどこか美しさを感じさせる音楽になっています。
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ミューズモード音楽院 コンポーザー・アレンジャー専攻
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