ラテン音楽と一言でいえど、様々なジャンルがあるのをご存知ですか?
カリブ海をルーツにしたスペイン語の曲なのですが、サルサ、レゲトン、バチャータ、メレンゲ、ポップス、キューバのソン、ティンバ、ルンバなど、メジャーなものだけでもたくさんのリズムがあります。年代によっても、名曲やヒット曲も数多いのです。
そこで、ラテンバーで20年踊り倒したラテンDJ歴10年の筆者が、ラテン音楽の素敵な世界を数回にわたってご案内します。
ラテンのダンスミュージック「レゲトン」
2000年代前半からラテン音楽の主役といえば、「レゲトン」に完全に移り変わりました。
思わず踊りたくなる世界的なヒット曲や代表的なアーティストをご紹介します。ノリがいいので、ワークアウトやズンバにもぴったりです。
ラテンは常夏気分!夏も冬も熱くなれます。
音楽って最高ですね!
(2024年6月7日 選:松原ひさし)
ざっくりレゲトンとは
スペイン語のヒップホップです。言葉は似ていますが、「レゲエ」とは別物ですのでご注意を。
NYのプエルトリコ移民たち(ニューヨリカン)がダンスホール・レゲエやヒップホップに影響を受けて、サルサなどラテンなリズムもとりいれスペイン語で曲を作り始めたと言われています。
瞬く間に中南米に広がり、アメリカ最大のマイノリティであるヒスパニック(スペイン語の話者)に支持されました。人口が5億人に迫る大市場です(2022年)。
2000年頃から世界的ヒットが増え、映画やスポーツの入場曲など意識せずとも耳にする機会が多くなりました。ラテン系らしいゴージャスさと恋の駆け引きの歌が多い印象です。
2010年代後半からはEDMの要素もはいったラテン・トラップが生まれ、有名アーティストたちも積極的に取り入れ存在感が増しています。
注意:スペイン語ではbとvの発音に区別がないので、アーティスト名や曲名の日本語表記はバビブベボを採用します(ヴァヴィヴヴェヴォは使用しません)。また、Zは濁音ではないのでサシスセソで表記します(ザジズゼゾは使用しません)。
クラブの定番。レゲトンの有名アーティストとテンションあがるヒット曲(発表年順)
『オイェ・ミ・カント feat. ダディー・ヤンキー、ニーナ・スカイ、ジェム・スター、ビッグ・メイト』ノリ 2004年
Oye Mi Canto feat. Daddy Yankee, Nina Sky, Gem Star, Big Mato – N.O.R.E.
NYC出身のプエルトリコ系ラッパー、ノリエガがルーツであるスペイン語でラップしてヒット。ブームのきっかけとなりました。タイトルは「オレの歌を聞け」という意味です。
『ガソリーナ』ダディ・ヤンキー 2004年
Gasolina – Daddy Yankee
プエルトリコ出身のレゲトンの王様による初期最大のヒットにして、王道のリズムです。タイトルは「燃料」を意味しますが、スラングで「アルコール」を指すようです。「燃料切れだから酒ちょうだい」と日本語でも言うのに似てますね。
『ヒップス・ドント・ライ』シャキーラfeat.ワイクリフ・ジョン 2005年
Hips Don’t Lie ft. Wyclef Jean – Shakira
コロンビア出身のスターとハイチ出身のラッパーによる大ヒット。シャキーラはベリーダンスの名手でもあり、「オシリは嘘つかない」というタイトルの通り、MVで見事な踊りを披露しています。
『アイ・ノウ・ユー・ウォント・ミー(カジェ・オチョ)』ピットブル 2009年
I Know You Want Me (Calle Ocho) – Pitbull
英語とスペイン語の早口でまくし立てるパーティ・スタイルです(厳密にはレゲトンではありません)。「お祭り番長」の異名で、クリスティナ・アギレラなどと多数共演。曲名にあるカジェ・オチョとはマイアミのリトル・ハバナ(亡命キューバ人)地区のことです。また、ドリームワークス『シュレック』シリーズのスピンオフ作品『長ぐつをはいたネコ』(2011年) でも使用されています。
『ダンサ・クドゥーロ』ドン・オマール 2010年
Danza Kuduro feat. Lucenzo – Don Omar
プエルトリコのスーパースターによる、映画『ワイルドスピードMEGA MAX』(2011年)サントラからの超絶ヒット。アフリカ起源の高速ダンスミュージック「クドゥーロ」を取り入れています。ちなみに、ドンとは聖職者への尊称であり、彼が牧師だったことに由来するのでしょう。
『ゲット・オン・ザ・フロア』ジェニファー・ロペス 2011年
Jennifer Lopez – On The Floor ft. Pitbull
ピットブルと組んだ「ラテンポップの女王」の代表曲で、「今夜はダンスフロアで盛り上がろう!」と言う内容です。歌手や俳優など、プエルトリコ系で最も成功しているアーティストの1人です。
『バイランド』エンリケ・イグレシアス 2014年
Bailando ft. Sean Paul, Descemer Bueno, Gente De Zona – Enrique Iglesias
スペイン出身のポップスターのメガヒット曲。タイトルは「Dancing=踊りながら」という意味で、フラメンコにレゲトンにラテン要素がてんこ盛りです。クバトンの代表格「ヘンテデソナ」が客演。お父さんのフリオ・イグレシアスも「世界の恋人」と称される人気歌手です。
『デスパシート feat. ダディー・ヤンキー』ルイス・フォンシ 2017年
Despacito ft. Daddy Yankee – Luis Fonsi
プエルトリコ出身の2人による、2017年夏のアンセム。なんと全米16週連続1位の最長タイ(当時)。ジャスティン・ビーバーのリミックスでさらにブーストしました。タイトルは「ゆっくりと」という意味で、官能的な歌詞です。
『フェリセス・ロス・クワトロ』マルーマ 2017年
Felices los 4 – Maluma
コロンビア出身の次世代スター。「4人で幸せ」という意味深なタイトルです。まったりした曲調に、甘い声とアダルトな雰囲気。シャキーラ、マドンナ、ジェニファー・ロペスなど大物と次々に共演する色男ぶりです。
『ミ・ヘンテ』Jバルビン 2017年
Mi Gente – J Balvin, Willy William
コロンビア出身の次世代スターに世界が気づいた曲。タイトルは「my people=オレの仲間」と言った意味のダンスチューンで、リミックス版にビヨンセが参戦してさらに盛り上がりました。ファッショニスタとしても人気です。
『アイ・ライク・イット ft. バッド・バニー & Jバルビン』カーディB 2018年
I Like It ft. Bad Bunny & J Balvin – Cardi B
ラテン新世代のトップスター3人が共演するラテン・トラップを代表する曲。アフロラティーナ系ヒップホップの新女王が全米シングル総合チャートで二度目の1位獲得しました。マイアミ・リトルハバナで撮影されたMVは、歌詞もやんちゃな感じです。
『ミア』バッド・バニー 2018年
MÍA ft. Drake – Bad Bunny
プエルトリコ出身の超売れっ子とドレイクのコラボがアメリカでヒット。「mine=オレのもの」というタイトルの恋愛系で、ゆるく踊れるラテン・トラップです。ラテン界のみにとどまらず、ポップカルチャーのアイコンでもあります。
関連プレイリスト
まだまだいい曲あります!もっと知りたい方やもっと聴きたい方はこちらでお楽しみ下さい。
レゲトン&ラテントラップ
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