今回はなんと!!
オーディオテクニカの成瀬工場を見学してきました!!
前回、テクニカハウスにおじゃまして、会社理念や最新機器を触りまくり、さらには音を出しながら実験なんかもしちゃいました。
今回はそのテクノロジーの心臓部である、開発にオジャマしちゃいました。
テクニカハウスでの実習の様子はこちら >>
まずは2年生を引き連れて工場のある成瀬駅で集合。
駅から徒歩10分程度。
橋を渡ると見えてきたのが「オーディオテクニカ成瀬事業所」です。
いやー、大きいデス。
少し早かったので、雨の降る中しばし待機。
チラチラと中を覗きつつドキドキしちゃいます。
ちょっと早いけどGO!ってことで入り口へ!
入るといきなり製品が展示されていて見入る2年生。
わかる。わかるぞー。
担当の方と合流してまずは会議室でのレクチャーからスタートです。
会議室にはDISCが展示されていたり、往年の開発してきたマイクの展示がありました。
これも見入る。わかる。わかるぞーー。
まずはマイクの開発目的、そして基本的マイク構造の理解をします。
こういった貴重な機会をつかって、ちゃんと復習することができ非常に解りやすいものでした。
また、開発だからこそ出来る構造上の話や、歴史的にどういう経緯で開発されてきたのか。
そして現代の最新テクノロジーがどこまで進歩しているのか、とても勉強になる内容でした。
講義を受けた後はどの様にして開発が行われているのかを見学します。
まず向かった場所が衝撃的。「無響室」です。
読んで字のごとく「全く音が響かない部屋」なのです。
想像つきます? 全ての壁が吸音しちゃうんです。
それがこの部屋!!
音はもちろん空気の振動で伝達されます。
音には直接的に耳に入る音と壁やモノに反射して聞こえる反響音があり、それを耳が総合して聞いているんですね(ザックリ説明ですみません><)
しかしながらこの「無響室」はその反射音が無い。
するとどうなるか?なのですが、これ説明しづらい!!!
すっごい伝わりづらいと思うんですが、超高山の山小屋にいる感じ(ナンダソレ)
えーと、えーと。
気圧の変化で耳詰りするじゃないですか? そうすると聞こえづらくなるじゃないですか?
あんな感じ!!(でも耳は痛くないよ)
とにかく声が飛んでない。中で担当の方が説明してくれたのですが、少し離れるとよく聞こえない。
いや、不思議な体験でした。
もちろん学生達も興味津々です。
さて、その無響室は何に使われているのか?ということですが!
ここはマイクの製品チェックや開発で「指向性」のチェックをするんです。
指向性とは説明すると本当に長くなっちゃうので簡単に書きますと、マイクには種類によって録音する(適している)方向があるんです。
その方向のことを指向性と呼びます(ザックリ過ぎ)
その方向が開発した内容と間違いがないかをチェックする場所が無響室なんです。
反響音があると正しい音の位置がわからなくなりますよね? また雑音があるとマイクの性能がキチンと出ているかを確認出来なくなります。
なのでこういった場所でしっかりとチェックする必要があるんです。 さらにビックリすることに、この部屋、ワイヤーで天井から吊られています。 外音が部屋に振動を起こし、余計な音を発生させない為に浮かせているんですよ!
もちろん壁だけじゃなく床も反響しない。
人ひとりが渡れる橋があるだけで、他の床はくり抜かれワイヤー張りになっていて、その1m下には壁と同じように施工されているんです。
いやーー、凄い。凄すぎる。
一つのモノを創る工程にもの凄く繊細な考え方を持っていて、これぞまさに職人というか芸術!
だから優れたモノが出来るんですね。
「無響室」を見たミューズ生、非常に感銘を受けました。
その後、場所を移動。
この成瀬工場はいわゆる工場とは違い「研究室」のようなセクションが多く、開発のベースになっている場所なんですが、それでも製造はあるんです。
その一部。
おおう。
本当に工場みたいだ!
実際にここではコンデンサーマイクの製造が手作業で行われています。
大量生産するには機械化が必須だと思うのですが、部品が非常に細かく、また生産ロットも機械化するまでに至らないモノはこうして手作業で生産していくことになるそうです。
パッとみると女性の方が非常に多く勤務されています。
なんでも女性は我慢強い傾向にあり、細かい作業行うには非常に適しているそうです。
(だからといって男性の方がいないワケではありませんよ!あくまで適しているというだけ。)
ここでは手作業で行っている工程を分解図、実物を見せながら解説してくれました。
これまた非常に解りやすく、構造的になぜ?どうして?の部分を詳しく教えてくれました。
モノを創ることにおいて非常に丁寧で、本当にびっくりするぐらいのクオリティです。
そして最後に全品チェックの工程を拝見させて頂きました。
マイク制作において商品全てをチェックする「全品チェック」は大量生産する工場においては珍しいと思います。
たぶんオーディオテクニカだけじゃないでしょうか?
ここには「無響室」のミニ版がいくつも置いてあります。
ここで無響室と同じ効果を生み出して全ての商品を見ていくのです。
作業は細かくしかも手早く、いくつもの工程を経て行われていきました。
その中には「結露チェック」なんてのもあり、マイクを冷やして暖め、結露に対しての耐性を確認する作業などもあるそうです。
全ての製造、確認が終わると「出荷」ということになるそうですが、実はこの時にも「出荷前チェック」というランダムに商品を抜き出してチェックするという工程もあるんです。
もうどんだけ確認するんですか!という徹底ぶり。凄いです。
ミキシング・クリエーター専攻の学生は学校に来てマイクの種類や使い方を学びます。
マイクが使用できることは当たり前で、そのマイクがどのような製造工程を経てみんなが使用できるようになっているのかをイメージすることはありません。
しかし今回のように工程を見学すると「当たり前に使用出来る陰には努力が存在する」という事をハッキリと認識できます。
これは音楽制作や音響制作などモノ創りには欠かせない要素だと思います。
「普通」に使用出来ることが当たり前。
「普通」に聴くことが出来ることが当たり前の世界にいるのです。
今回の会社見学はオーディオテクニカという会社の中身を見学しただけでなく、モノを創るとはどういうことなのか?という基本的な姿勢まで見せて頂いたように感じました。
短い時間ではありましたが、今回この様に時間をとって頂いたオーディオテクニカ社には感謝の念が絶えません。
それと同時に「ミキシング・クリエーター専攻だけじゃもったいない!」という気持ちにもなりましたので、今後は他専攻も交えながら、また交流できたらと思っています。