HIP HOP(ヒップホップ)とは?
ヒップホップの定義・4大要素
HIP HOP(ヒップホップ)は1970年代前半にアメリカ・ニューヨークのブロンクスで誕生しました。ちなみに、3大DJの一人、クール・ハークとその妹がニューヨークのブロンクスでパーティ(ブロック・パーティ)を開催したという1973年8月11日がヒップホップ記念日とされています。
ヒップホップは「ラッパー(MC)」「DJ」「グラフィティ」「ブレイクダンス」を4大要素としています。「グラフィティ」とは、ストリートの壁や建造物などに描かれたスプレーアートのことです。1982年公開の映画『WILD STYLE』を観ると、その4要素がよくわかります。
ラップのルーツとは?
ラップという表現スタイルのルーツには、西アフリカの民族音楽であるグリオ、詩に節をつけて詠むスポークン・ワード、ジャズのジャイヴ・トーク、観客がいるところで相手を罵り合う言葉のバトルゲームのダズンズ、ジャマイカのダンスホール・レゲエのトースティングなど、複数の源流が説として挙げられています。
それでは、ヒップホップの黎明期に登場した3大DJたちを見ていきましょう!
Kool Herc
クール・ハーク
クール・ハーク(1955〜 )はジャマイカ出身のDJで、「ブレイクビーツ」を発見した人物で「ヒップホップのゴッドファーザー」とも言われています。
ブレイクビーツとは?
当初クール・ハークは、当時のディスコDJたちと同じように、2つのターンテーブルとミキサーを使って、レコードを切れ目なく繋いでかけているだけでしたが、ある日、仲間たちのダンスが一番盛り上がるのは、必ずしも歌のある部分ではなく、リズムが強調されたブレイクの部分だということに気付きます。そこで同じレコードを2枚準備して、その部分だけを何度も繰り返し再生してみたのです。そうして生まれたのが「ブレイクビーツ」でした。このブレイクビーツで踊り出すダンサーたちを「B-BOY(ブレイクボーイ)B-GIRL(ブレイクガール)」と名付けたのも彼だとされています。
Afrika Bambaataa
アフリカ・バンバータ
アフリカ・バンバータ(1957~ )は先述のヒップホップの4大要素を定義づけた人物ともされています。ブロンクス生まれの彼はギャングのボスでもありましたが、クール・ハークに影響されDJをはじめます。そして後にズールー・ネイションというヒップホップの親睦団体を設立し、ブロンクス地区の平和と親善を訴えるようになっていき、多方面に影響を与えました。この初期のヒット曲『Planet Rock(プラネット・ロック)』(1982)は、その音楽性から「エレクトロ・ファンクの父」とも呼ばれています。
Afrika Bambaataa & Soulsonic Force 『Planet Rock』(1982年)
ちなみにこの曲の元ネタとなっているのはドイツのテクノ・グループ、Kraftwerk(クラフトワーク)の『Trans-Europa Express」です。
Grandmaster Flash
グランドマスター・フラッシュ
グランドマスター・フラッシュ(1958〜 )はDJクール・ハークから学び1970年代後半からDJ活動を始めました。彼はDJの「スクラッチ」という技術を広めた(「発明者」はグランド・ウィザード・セオドアと言われています)人物としても有名です。彼が結成したグランドマスター・フラッシュ・アンド・ザ・フューリアス・ファイヴ (Grandmaster Flash and the Furious Five)が1982年に発表した『The Massage(ザ・メッセージ)』は、黒人たちの生きている社会の不条理、ゲットーの苦しみ等を「俺を押すんじゃない、崖っぷちにいるんだから」と赤裸々に表現した曲で、いわゆるパーティ・ミュージックであったヒップホップに新たな一面を加え、そのあり方に大きな影響を与えた曲でした。2007年にはヒップホップ関連アーティストとして初めて「ロックの殿堂」に入ります。
Grandmaster Flash & The Furious Five 『 The Message』(1982年)
「スクラッチ」を広めた人物でもあるグランドマスター・フラッシュのDJプレイはこちらでご覧いただけます!
世界で最初のヒップホップのヒット曲
ところで、実はこれら3大DJよりも先にヒップホップでヒットしたグループがあります。それがThe Sugarhill Gang(シュガーヒル・ギャング)です。自身がアーティストでもあるプロデューサーのシルヴィア・ロビンソンが、ディスコの次に流行るジャンルとしてヒップホップに目をつけて作ったグループで、彼ら自身はすでに存在していたストリートのヒップホップとはあまり関係のないグループでした。しかし、彼らのヒットによってレジェンドである3大DJや他のアーティストたちも注目されるようになり、その後のヒップホップ文化の隆盛のきっかけの一つとなっていきます。
The Sugarhill Gang『Rapper’s Delight』
シュガーヒル・ギャング『ラッパーズ・デライト』(1979年)
ちなみにこの曲はCHIC(シック)の『GOOD TIMES』が元ネタになっています。