MIX師に向いてる人ってどんな人?
MIX師になるには、どんな才能が必要なの?
MIX師を職業にするにはどうすればいいの?

そんな疑問にお答えしちゃいます。

MIX師とは

このワードで検索してここに辿り着いてる以上、あまり説明は不要かと思いますが、いちおう。

そもそもは日本の代表的な動画共有サイト「ニコニコ動画」で築かれたものです。
2007年にボーカロイドソフト「初音ミク」が発売され、それを主体とした楽曲を投稿した楽曲製作者が「ボカロP」と呼ばれました。
ニコ動ではたくさんのボカロPが出現すると共に名曲がいくつも生まれ、それに伴いイラストを投稿する「絵師」がコラボして楽曲の世界観をグッと近いものにしました。
そしてその名曲を「歌ってみた」人が現れ、一気に「歌い手」文化が成長します。
この「歌ってみた」動画は単に歌うだけでなく、いかに聴いてもらうかセンスや工夫がここで確立されていきます。
素人っぽさから脱却するため、カラオケ音源と自分の声をいかに自然に、そして自分の声や歌が楽曲と馴染むようにするため、MIXに知恵を絞るようになりました。
そこから自然派生的にMIXを専門に行う人、つまりは「MIX師」が出現したのです。

一般的なレコーディングエンジニア・ミキシングエンジニアはアーティストが創造した歌や楽器をまとめて曲にしていきます。
大体は録音から立ち合い、アーティストと共に楽曲を最初から創り上げていくのが基本です(MIXのみを行う場合もたくさんありますが)。
一方、MIX師はだいたいの場合、録音を行うことはありません。
録音データをもらい、歌い手とコミュニケーションを行いながらMIXイメージを創ったり、MIXの方向性を提案したりしながら作品を創り上げていきます。

さて、おおまかにMIX師とはどんな人たちなのかを書きましたが、そのMIX師に向いている人とはどんな人なのでしょう?

MIX師に向いている人とは?

  • いろんな音楽を聴いている
  • 自分のスタイルがある(得意な音楽ジャンルがある)
  • 提案力がある
  • 好奇心が強く、探究心がある
  • 作業スピードが早い

こんな人が向いています。
それでは、それぞれ細かく見ていきましょう。

いろんな音楽を聴いている

投稿される楽曲にはさまざまなジャンルがあります。
ということは、さまざまなジャンルの歌い手がいるということ。
いろいろな音楽を聴き、音楽的知識があればどんなジャンルの歌い手にも対応でき、制作できる幅も広がります。

また歌い手から「○○っぽくしてほしい」など、具体的にリファレンス曲を指定されることもあります(むしろこっちの方が多いかも)。
そんな時に知っている楽曲であればすぐに制作に取り掛かることができる上、クオリティも上がります。

MIX師は個人事業主であることが多く、制作依頼もただ待っているだけでは訪れません。
自分がどれほどのことができるのか。
どんな完成度でMIXすることができるのか。
ポートフォリオを公開していくことで依頼は確実に増えていきます。
そして対応できる音楽ジャンルが広ければ広いほど依頼数は増えるので、ポートフォリオも増える。
その循環がMIX師として活動する第一歩となります。

自分のスタイルがある

良いMIX師とはどんなMIX師なのでしょう?
いまやMIX師と呼ばれる人は有名、無名問わずたくさんの方がいます。
その中で歌い手から信頼され、依頼が尽きないMIX師はどんな人なのでしょうか。

それは「完成系が見える人」だと言えます。
この人に依頼すればクオリティが高いことはもちろん「こうなってほしい」という希望が叶えられ、イメージ通り、もしくはそれ以上のものを提供してくれる人が良いMIX師なのです。

たくさんのMIX師の中から依頼されるには、完成系におけるスタイルが確立されMIXに個性が出る必要があります。
例えばリバーヴ一つとっても広がりの綺麗さやディープさなどにも個性は出ます。
これは自分の好きな音楽やジャンルに大きく影響されると思います。
ロックが好きな人はロックのことを良く知っていますよね。
だからロック系の依頼があった時に、MIXにも細やかな拘りを持つことができます。その細やかさや拘りがクオリティを担保し、個性的なMIXを生み出すベースになるのです。

提案力がある

これはいろんな音楽を聴いている部分にも通じるところがあります。
歌い手は自分の歌とカラオケ音源をMIX師に渡し、完成系のイメージを伝達してお任せします。
この最初の打ち合わせの時に、どんな感じにしたいのか、歌い手の声とカラオケのマッチングを考えて「全体的にこんなMIXはどう?」「サビはこんな感じでいこう」などリファレンス曲を提示しながら打ち合わせすることもあります。
いろんな音楽を聴いていれば、リファレンスできる曲の幅も広がりますし、提案する内容も多くなります。

MIX師が一番困ることはアーティストから何度もリテイクが出ることです。
これは依頼するアーティストの技量にも大きく左右されますが、完成まで導いた後に「こういう感じじゃないんですよね」なんて基本からリテイクされるともう大変です。
経験値のある歌い手は自分の歌と曲のイメージを考えながら、わりと具体的な指示がありますが、経験の浅い歌い手だと自分の声質などを把握していない場合が多く、最終的なクオリティが担保できない状況になることもあります。
この時に具体的な提案をし、相手にしっかり完成系をイメージさせることができれば、修正などに時間を取られることも少なくなり、MIXに多く時間を割けることに繋がります。

好奇心が強く、探究心がある

音楽テクノロジーは凄まじいスピードで進化しています。
基礎となるDAWはもちろん、プラグインなどは無数にあります。
有名どころのDAWソフトだけでもCubase / Digital Perfomer / Logic Pro / NUENDO / Pro Tools / Live / Studio Oneなどがあり、それぞれwin / macもあればwin専用mac専用のソフトなどもあります。
さらにこのソフトに搭載するプラグイン。
1つのDAWソフトだけでも多数存在します。

またボーカルを主体とするMIX師ですからピッチ補正ソフトも必要になりますが、これもたくさんあります。
有名どころだとAuto-Tune / Melodyne / Waves-Tuneというところでしょうか。

こういった音楽ソフトは常に進化していきます。
また新しいDAWやプラグインは年々増えていきます。
このような情報は発売前や開発段階で必ずネットに公開されます。
ですから常に音楽テクノロジーに好奇心を持って接し、さらに「どんなことができるのか」「自分の制作に必要なのか」など、精査していく探究心が必要になるのです。

作業スピードが早い

これはMIX師を本業としてやっていく場合、1つの案件を手際良くこなすことで、たくさんの案件を受けることができるからです。
作業スピードが早い人の特徴として

  • ショートカットをたくさん知っている
  • 完成イメージを明確に持つことができる

などがあります。

ショートカットは技術的なことですから、たくさんの作品を創れば創るほど覚えていきますし、使いこなせます。
いま知らなくても回数こなせば誰でも身に付きます。

完成イメージについては上記の提案力と同様です。
渡された素材を聴きつつ、こんな感じでどうですか?と提案することでアーティストに具体的なイメージを創造してもらいます。
この提案イメージがアーティストの希望に程近い上、完成度が高ければなんども打ち合わせすることなくMIXに時間を割けるのです。
一流のMIX師は簡単なMIXだと1曲平均3-5時間で完成させます。
効率的な作業ができる人は依頼を多数こなせるので経験もポートフォリオも増えていき、仕事の安定化に繋がります。

最後に

MIX師になるのは非常に簡単で、自分で「MIX師です」と言ってしまえばMIX師なのです。
しかしMIXの仕事を安定的にするには「技術」と「信用」が必要になります。
上手いMIX師は当然のことながら技術があります。
依頼を受けて制作するわけなので、わざわざ下手なMIX師にお願いすることはありません。
ではどうやって技術を向上するのか。
もうこれは2択です。

  1. 学校で習う
  2. 独学でMIXしまくる

この2つしか無いでしょう。

学校で習えば当然技術はあがります。
山ほどあるプラグインの使い方、プラグインの種類、ボーカル編集の仕方などMIX師になるには充分な知識と技術は得られます。

独学で学ぶことももちろんできます。
学校に行くのは独学で学ぶ時間が圧倒的に短縮できることが最大のメリットで、時間を掛けても良いのなら独学でじっくりと進めてみるのも良いでしょう。
独学で進める方はまず自分で「歌ってみた」の収録をしてみることが良いと思います。
依頼者がどんな事を求めているのか、そして自分には何ができるか確認するにはもってこいです。

そして信用ですが、信用とは「この人はこんなことができる」という証明です。
つまりポートフォリオになります。
最初の仕事はおそらく無償で行うことになると思います。
新人の歌い手さんにお願いしてデータをもらいMIXしてみるのも良いかと思います。もちろん自分で歌えるなら、無限に素材は作れるのでこれが一番早いです。

さて、MIX師に向いてる人について色々と書いてきましたが、最終的には作品を創り続ける根気と積極性がものを言う世界になることは間違いありません。

いまやろうかどうしようかと迷っている人はとりあえず専門学校の体験授業に出るとか、機材にとりあえず触ってみるなど1歩でも前に進んでみれば、また違う世界を見ることができるので、まずはやってみてはいかがですか?

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